消化器官の第一線を担う「胃」のおはなし
「胃痛が朝食後に多いため、朝食をおいしく食べられない」
というご相談をいただきました。
ということで、今回は、「胃」について少しお伝えしようかと。
「預診」自体が、必ずこうだというものではありませんが、
今後の健康管理に、お役に立ていただけますと幸いです。
朝食時間あたりの、7:00~9:00の時間帯は、1日の中でも、「胃」が盛んに活動する時間帯でもあります。
この時間帯に胃痛を感じるという場合は、胃を酷使しすぎている可能性があります。
3食食べないという選択肢
もともと、朝・昼・夜と3食必ず食べなければならないという話は、いつのころからか始まった(どうやら、ビジネス的な戦略が隠れているよう)習慣のようですが、身体が欲していない場合は、無理に3食を食べなくても良いのではないか?というのが、望診を学んで感じたひとつでもあります。
昨今の現代人の「生活習慣病」と呼ばれるものは、何かしら、偏って食べすぎることにより、それらの消化しきれない老廃物が、特に弱い臓器に蓄積されて、病と化するとも言われています。
偏って食べすぎないことがポイントとなりますので、お腹が空いていない、食べると体調を崩すという場合は、敢えて無理に3食食べないという選択肢を設けることも、身体に優しい(正直な)食生活に。
ただし、貧血ぎみだったり、栄養失調といった医師の判断が出ている場合は、食べないことが逆にリスクになり兼ねません。
増血作用のある栄養価のそれなりに高い食べ物を、胃に負担をかけすぎないよう、しっかり咀嚼して食べることで、様子をみることをオススメいたします。
「口」は、食べ物が最初に身体に入る入口ですので、口の機能を意識して、食べることで、胃に入る前段階で、ある程度消化活動を進めることができます。
身体が弱っている人の玄米メニュー
私自身、マクロビオティックな玄米菜食の食生活を行うことで、体調不良を克服してきましたが、だからといって、玄米菜食が、全ての人に良いとは勧めていません。
講座の中の短い時間の中ではありますが、最終的に信じるのは、自分自身の「舌」であることを、時間の許す限り、お伝えしています。
というのも、パッと見てわかるような出血や貧血などではないような類の体調不良、
- お腹が痛い、
- 気分が冴えない
- なんだかふらふらする
といったものは、自分が一番感じるからです。
食べ物を食べた時に、美味しいと感じたり、不味いと感じるのも、各々の好みの差や、頭で考えた結果だったりもしますが、本来は自分の舌で感じた感覚です。身体の芯から美味しいと感じられるかどうかは、本人が一番良くわかるものでも。
そして、マクロビオティック自体、創始者の桜澤先生は、「最終的に、何を食べてもへこたれない丈夫な身体になり、成すべき仕事をする」ためのものとしています。
世界平和を唱えていたので、「世界中の各個人が、それぞれの使命による仕事に没頭する世界では、戦争という考え方や行為自体に費やす時間がなく、平和な世界が広がるのだろう」と、私個人は解釈しています。
そして「玄米」は、穀物の中では、陰陽の丁度真ん中あたりの「中庸」の食材です。
穀物自体が、食物全体でみたときに、中庸の中でやや陽性寄りの食物でもあります。
陰陽という考え方の中では、食物全体を比較するものではないという場合もありますが、白米や粉物(麺類やパンなど)と比較すると、玄米は、やや陽性寄りの食材です。
そのため、昨今のような暑い時期(外気が陽性寄りの時期)は、玄米ご飯より白米ご飯や麺類を食べたくなるのは、正しい身体の反応とも言えます。
これは、陰陽の12の定理の中の1つ
「陽は陰を、陰は陽を引く」という性質をあらわしています。
暑い夏の日(陽性)は、冷たくよく冷えた飲み物(陰性)を無意識のうちに欲し、寒い冬の日(陰性)は、温かい飲み物(陽性)を欲します。これは身体からの無意識のサインでもあり、自然の原理(宇宙の秩序)でもあるという考え方です。男性が女性に、女性が男性に対して、恋に落ちるのも、この原理と言えます。
暑い日でも、デトックスや体調維持のために、玄米を食べておきたいと感じた場合は、調理の仕方や機材の選択、一緒に使う食材や調味料の選択や量によって、玄米を陰性寄りの調理で、夏でも食べやすいメニューに切り替えると、美味しくいただくことができます。
プラス、自分の身体の体調が、陽性寄りに傾いているタイミングで、陽性寄りの調理方法で陽性に傾けた玄米を食べることで、陽性に傾きすぎて、体調を崩すきっかけすら作り出してしまう可能性があります。世の中で「スーパーフード」としての位置づけだから、いつなんどき、誰が食べても身体に良い食べ物だとは限らない、という考え方です。
また、玄米に限らず、これから芽を出し、子孫を残すはずの「種」にあたる食物は、子孫繁栄を害するもの(=それらを食べるもの)に対して、はっきりとは見えにくいところで抵抗をしています。この抵抗は、全て食べられてしまい、自分たちの子孫を残せなくならないようにというものかと。
創始者の桜澤先生が活動していた頃に、それらの認識があったのかはわかりませんが、その原理をわかっていたのではないか?と思えるもののひとつに、特に身体が弱っている人に対しての食養では、「玄米を炒った後に粥として炊く」という方法を、教わります。
代表的な玄米の食養メニューには、
- 玄米クリーム
- おめでとう(小豆玄米粥)
というものがあります。
現代では、発芽玄米という考え方もそれに当たります。
(細かい事をみると、発芽玄米として販売されている玄米では酸化が始まっているという説もあり)
玄米クリームまでではなくとも、炒った玄米をたっぷりの水で炊き込んだお粥に、大根おろしを混ぜて食べたりするのも、オススメな「夏の玄米の食べ方」でもあります。
胃に負担をかけ過ぎない食べ物とは?
胃は、とても強力な胃酸を作り、口から入ってきた食物の消化を始める、消化器官の第一線の臓器です。
この臓器が弱ると、食べても食べてもまだ足りないと感じ、つい食べ過ぎて気持ち悪くなったり、対となる脾臓(マクロビオティックな望診では、膵臓)も弱っていると、甘い物を無性に欲したりします。
胃が弱っているサインは、胃痛の他に以下のようなものがあります。
- 腹痛
- 目の下、あごのたるみ
- 胃下垂
- 膨満感(ぼうまんかん)
- 目と頬骨の間辺りにソバカスが多い
- 口内炎がよくできる
- 上唇にホクロやシミがある
- 上唇が荒れる、腫れぼったい、薄すぎる
- 鼻筋の真ん中あたりの色が白い
- お腹が空いていないのにグーとなる
- ほうれい線などのシワが目立つ
- 色々考えすぎる
対となっている臓器、脾臓(膵臓)が弱っているサインは、以下のようなものがあります。
- 下半身の冷え
- 食後の眠気
- 肌のたるみ
- 口の中の粘り
- 口角の荒れ
- 目と目の間あたりの横シワや黒ずみ
- 気分の浮き沈みが激しい
- 痰が多い(三焦の弱りの場合も有)
- 下痢や嘔吐(三焦の弱りの場合も有)
何度も書いていますが、胃の弱りには、甘い物を欲しますので、甘くて胃にあまり負担をかけすぎない食べ物を、よく咀嚼して食べることをオススメします。胃がもともと弱い場合は、消化自体の胃の負担を減らす食べ方「よく噛んでから飲みこむ癖をつけること」を、特にオススメします。
特に「全粒穀物」は、よく咀嚼することで、口の中にてある程度は消化され、最終的に腸で吸収される食物なので、血糖値は白米や粉物を食べた時よりもゆるやかな上昇となり、腹持ちも良いのがその特徴。そのため、食後の眠気を引き起こしづらくするのと、食べすぎの原因となる空腹感のある時間を比較的短くでき、オススメの食材でもあります。
ただし、咀嚼をせずに飲みこむと、かえって消化不良で下痢になったり、胃痛を増幅させたり、かえってダメージを大きくする可能性も。取り入れる場合は、咀嚼と調理を意識することもお忘れなく。
胃に優しい食材
胃に優しい丸くて甘い食材 |
玉ねぎ カボチャ 薩摩芋 人参 トウモロコシ 粟(あわ) 葛 など |
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貧血気味と言われたら
増血作用のある食材をよく咀嚼して |
稗(ひえ) 発芽玄米 ごぼう 金針菜 胡麻 味噌(菌が活きている味噌) 葛 なつめ プルーン クコの実 梅干し、梅酢 など |
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